顎関節症の原因は、TCH(上下歯列接触癖)
TCH(上下歯列接触癖)
TCHとは、上下歯列接触癖(Tooth Contacting Habit)の略称です。
通常、人は安静時には上下の歯が離れるもの。発音、咀嚼、嚥下などによる正常な歯の接触は瞬間的で、その合計時間は20分以内といわれています。しかし歯を使わない時間にずっと噛んでいる方がいます。歯が接触すると筋肉活動が起こり続け、様々なトラブルの遠因となります。
TCHが自覚できるほど、日常的に歯の接触がある方や、ストレスを感じた時だけの方、全く自覚がない方など、程度によって治療選択肢は異なりますが、検査によりその判定と改善の訓練法をと伝えしています。「歯が凍みる」「肩がこる」などある方は、相談することをおすすめします。
TCHの自己診断
- 唇を閉じて、歯が当たらないようにしてみましょう。
その状態で5分維持できるでしょうか?
TCHがない人はそれを10分以上継続できます。
辛くなる、噛みたくなる人は要注意です。
改善訓練
「人は○○をしていけない」ということをしにくいです。
普段力を入れ続けているので、脱力してくださいと説明してもほとんどの方が出来ませんでした。
当院では、次のような訓練を行い、TCHを改善していきます。
1 日常の記録をつける
習慣化してしまっているのか。
疲労時やストレスがあったときなのか。
どんな時にしているのか。
2 筋肉の状態を自覚する
わざと力をこめてから脱力するようにしてください。
力を入れた後だと「脱力」した感じが実感しやすくなります。
3 歯をついていない状態を習慣化する
メモなどを複数貼付けし、気づきの回数を増やす。
常時目に入るところには付けないのがポイントです。
訓練の成果
当院で説明し、2週間で3割くらいの人に改善がありました。
+2週間で、7割前後の方に効果がありました。
歯の接触は無くなりはしないが、減ったと自覚できた人は8割を超えました。
残りの方は、口腔内の問題が大きく、訓練だけでは困難でした。
顎関節症の診断・治療
- K-7 エバリュエーションシステム(歯科用下顎運動測定装置)により、運動解析と筋電図を測定しています。関東では大学病院を含めても数十台しか使用されておりません。
顎関節や咬合に問題のある方の検査には効果的です。客観的データの裏付けにより、かみ合わせをしながら一口腔単位の治療を行っています。検査や治療内容に関してはご予約の上、ご相談ください。
あごの動きを測定
下顎運動解析装置(CMS)を使用して、あごの動きをミクロン単位で調べます。
測定例
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測定例1:よい状態
正面と側面からの軌跡分析
顎関節に問題のない方(症状のない方) -
測定例2:わるい状態
正面と側面からの軌跡分析
不安定な顎関節とアンバランスな咀嚼筋の状態 -
測定例3:わるい状態
正面からの動きと開口速度の分析画面
片側の顎関節にのみ問題のある方
咬む筋肉を測定
歯科用筋電計(EMG)を使用して、咬む筋肉を調べます。筋肉に加わる力が大きいほど振れが大きくなります。
測定には1時間から2時間程度かかります。
測定例
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緊張状態
(治療前)リラックス出来ずに、つらい肩こりのように突張っている状態です。緊張している筋肉の部位によりかみ合わせのズレの方向などもわかります。
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リラックス状態
(治療後)良いかみ合わせの方は最初から活動電位が低く、左右のバランスも良いです。残念ながら顎関節の症状がある方はほとんどがアンバランスで不安定の数値が出ます。自覚症状が無い方でも測定することによって、隠された問題点が発見される事があります。